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研究と報告
慢性期頸髄損傷者における生活満足度と本人が描く将来見通しとの関係―パス解析
Relationship of Life Satisfaction and Forecasting a View of Future in Spinal Cord Injury with Quadriplegia: Pass Analysis.
酒井 ひとみ
1,2
,
宮前 珠子
3
,
岩井 幸治
4
Hitomi Sakai
1,2
,
Tamako Miyamae
3
,
Kouji Iwai
4
1広島大学大学院医学系研究科
2YMCA米子医療福祉専門学校作業療法士科
3広島大学医学部保健学科
4国立伊東重度障害者センター
1Hiroshima University Graduate School of Medical Science
3Faculty of Health Science, Hiroshima University School of Medicine
4Ito National Rehabilitation Center for Severely Disabled Persons
キーワード:
生活満足度
,
将来見通し
,
頸髄損傷者
,
QOL
Keyword:
生活満足度
,
将来見通し
,
頸髄損傷者
,
QOL
pp.1055-1062
発行日 2000年11月10日
Published Date 2000/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109356
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はじめに
脊髄損傷者の余命は,医療的な管理技術の進歩により,年々健常者に近づいている1,2),これに伴い米国では,慢性期の脊髄損傷者の薬物依存や自暴自棄および自殺等の報告が散見されている1,3,4).頸髄損傷者の生活に対する満足感は,心理的・身体的・社会的問題5-7)に加え,「将来見通しの暗さ」が影響を及ぼしていると推測される8,9).守屋9)は,自殺未遂者の調査から,人は現在の状況を意味付け得るだけの未来像を自覚できない時に自殺に至ることを明らかにした.しかし,「将来見通しと現在の生活に対する満足感」の関連に焦点を当てた研究は扱われていない.
この研究の目的は,慢性期の頸髄損傷者の現在の「生活満足度」と「将来見通し」との関連性を知ること,および「生活満足度」に影響を及ぼす身体的・社会的・心理的因子間の相互関係を知ることである.なお,ここで取り上げた「将来見通し」とは,「近未来において,本人が誰と何処で何をしているかを予測すること」と定義した.
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