column
医師になりたくなかった男の話
谷本 普一
1,2
1谷本内科クリニック
2前東京慈恵会医科大学内科
pp.326
発行日 2003年11月30日
Published Date 2003/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107425
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あまりほめられた話でありませんが,医師になりたくなかったのに,医師になってしまった男,私自身の話をしましょう.私と同じような人もいると思いますが,一般には,医学部を志す人の大半は,医師という職業に明瞭な目的意識をもっていると考えられます.
私がなぜ医師になりたくなかったかという理由は単純です.私の青春は戦後の慌しい時代のさなかにありましたが,その頃の私は文学書の濫読時代にあり,漠然と文学を専攻しようかと思っていました.いざ大学受験が迫り,文学部入学を考えましたが,当時地元北海道大学(以下,北大)には文学部はなく,他の学部のなかでは,語学が重視されるといわれていた北大医学部を選択したようなわけです.
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