巻頭言
リハビリテーション医療における保険医療の矛盾
小林 一成
1
1東京逓信病院リハビリテーション科
pp.105
発行日 2002年2月10日
Published Date 2002/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109682
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医療監査がついに当院リハビリテーション科にも入り,そして見事に払い戻しを要求された.問題とされた用件は“作業療法および理学療法複雑”の患者さんの治療記録で,複数の治療記録に治療実施時間の一部重なりがあったため,複雑の要件である“1対1で続けて40分以上の治療”を満たしていないという指摘であった.担当事務官によれば,まず複雑治療が可能な患者とは,40分以上続けて訓練に耐えうる体力をもっていなければならず,したがって途中で休憩を入れずに訓練することが可能だという.退院直前ならいざ知らず,訓練が一番必要な時期の患者さんは続けて40分の訓練はできない.休憩も必要だし,実質的な十分な訓練時間も必要である.必要な訓練を10分間行って休憩をはさみ,これを4回行って実質的訓練時間を40分以上として複雑治療を請求する場合には,間の休憩時間も治療士がその患者のそばにつきっきりになっていなければいけないという.したがって,もし80分の間に2人の複雑治療を行うためには,40分間ずつ続けて1対1で治療する場合はよいが,10分間ずつ交互にそれぞれの患者を4回ずつ治療することは許されていない.
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