鏡下咡語
大学病院医師の矛盾—何故医療職ではないのか
斎藤 等
1
1福井医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.308-309
発行日 1993年4月20日
Published Date 1993/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900708
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日本医師会の勤務医会員に止むを得ず入会すると,「日医ニュース」という新聞が送られてくる。そのなかに「勤務医のページ」というのがあるが,これを見る度に矛盾と憤りを感じている。というのは,大学教授以下,助手に至るまで,患者を相手に医療を行いながら待遇は医者ではなくて,教育者であることをご存じであろうか。その証拠は給与体系を見ればわかる。大学病院医師は教育職として評価され,その給与たるや勤務医の医療職に比し,相当低いのである。
少し古いけれども,図1に1991年8月10日号(図1)の「日経メディカル」に特集された,勤務医給与の実態の中の一部を引用した。大学勤務医の薄給の状態がわかると思う。最も高い医療法人・個人立病院は大学勤務医師のほぼ2倍の給与レベルになっている。他の医療機関は30代のうちに年間平均給与額が1,000万円を越えている。大学勤務医の平均給与が1,000万円を越えるのは60代に入ってからである。この年齢まで大学に残っている場合,ほぼ教授の給料と考えてよいであろう。
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