Japanese
English
特集 精神障害者のリハビリテーション
社会復帰を進めるためのチームアプローチ
Team-approach for promotion of psychiatric rehabilitation.
西園 昌久
1,2
Masahisa Nishizono
1,2
1心理社会的精神医学研究所
2福岡大学
1Institute for Psychosocial Psychiatry and Psychoanalysis
2Institute for Psychosocial Psychiatry and Psychoanalysis
キーワード:
生物-心理-社会的モデル
,
精神医療体制
,
包括的治療
,
環境の治療要因
,
リーダーシップ
Keyword:
生物-心理-社会的モデル
,
精神医療体制
,
包括的治療
,
環境の治療要因
,
リーダーシップ
pp.7-12
発行日 2002年1月10日
Published Date 2002/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109658
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チームアプローチを進めるための条件
1.精神医療チームアプローチの理念;生物-心理-社会的疾病モデル
精神障害者のリハビリテーションは何も精神分裂病に限ったことではないが,今日でもなお主要な対象疾患なので精神分裂病について述べることにする.
精神分裂病は古くから内因性精神病の代表とされてきた.図に示すように,Kraepelinの脳の病的過程論やJaspersの了解不能―説明論などによってそれは裏づけられ,多くは不可逆,あるいは不治の精神疾患と思い込むペシミズムに支配された.第二次世界大戦後の人間復興の時代思潮の影響を受けて心因論的立場からの理解と治療についての試みも起こり,生物学的モデルと心理学的モデルの2つの異なる立場からの不毛と思える論争が生じた.この2つの立場は,脳を問題にするのと,人格の違いを問題にするのとの違いはあれ,いずれも個人を対象にしている点では共通する.ところが人間は個人として生きるとともに社会との関わりのなかで存在している.イギリスを中心に社会精神医学が発達したのである.この新しい視点は第二次大戦後に生じた社会保障の思想と同根である.
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