Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「老親」―互いの自立を基調とした介護
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.1067
発行日 2001年11月10日
Published Date 2001/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109629
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長男の嫁には親が4人いるという.自分の両親と夫の両親だ.対して夫にとっての親は自分の両親2人だけである.しかも,親が倒れたとき,嫁は自分の親,夫の親問わず介護に当たらねばならないが,夫は免除される.
ということで「老親」(監督/槙坪夛鶴子)は4人の親の介護をするハメになった長男の嫁,隅田成子(万田久子)の物語である.原作は門野晴子(かどのはるこ)『老親を棄てられますか』と『寝たきり婆あ猛語録』であり,作者の実体験にもとづくものである.
東京で癌に冒され余命わずかな実父の看病をしている成子のもとに夫から奈良は斑鳩の母親が倒れたので至急行ってくれとの報が入る.姑が亡くなるまで看病を続けたものの,話はそれだけでは終わらない.旧家に一人残された舅,隅田兼重(小林桂樹)の面倒をみることになるのだ.かくして成子は息子,娘と共に斑鳩に移り住み,夫は東京に単身残留.それから7年の歳月を経て,夫の大阪転勤を機に成子は離婚を切り出す.自分の財産といえば教育関係の書物2点の印税50万円しかないが,そろそろ物書きとしての自分の生活を立ち上げたいと考えたのだ.
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