Japanese
English
特集 リハビリテーション医学におけるEBM―治療効果の検討
脳血管障害
How to estimate articles about rehabilitation for chronic stroke.
千田 富義
1
Tomiyoshi Chida
1
1秋田県立リハビリテーション・精神医療センター
1Akita Prefectural Rehabilitation and Psychiatric Center
キーワード:
慢性脳血管障害
,
EBM
Keyword:
慢性脳血管障害
,
EBM
pp.895-901
発行日 2001年10月10日
Published Date 2001/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109593
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はじめに
脳血管障害に対するリハビリテーションの治療効果は急性期患者を中心に検討されてきた1-4).これらの多くは,急性期脳血管障害患者へのリハビリテーション治療が有効であることを指摘している.しかし,この効果は発症後の経過時間が短いほど大きく,発症後6か月以降ではほとんどなくなるとの報告が多い3,5,6).一方,慢性脳血管障害患者でもリハビリテーション治療の効果が認められるとの主張も次第に増加してきている7-9).それらの文献によれば,慢性脳血管障害患者での効果は,1)リハビリテーション治療終了後に生じた廃用症候群の改善,2)生活によって加わった新しい関心事を実現するために未体験の技術を獲得,3)脳浮腫など急性期の悪条件下で遂行できなかったことを学習してしまう,いわゆる「学習による不使用」の改善,などの機序が推測されている7,10).慢性脳血管障害患者では徐々に機能低下が増悪するとの指摘があり11,12),リハビリテーション治療の効果があるかどうかは慢性脳血管障害患者を追跡・治療するうえで重要な問題である.しかし,慢性脳血管障害患者でのリハビリテーション治療の効果についてはまだ議論の余地が残されている.
そこで,慢性脳血管障害患者のリハビリテーション治療の効果について,科学的根拠に基づいた医療(Evidence-based medicine;EBM)の視点で種々の文献を検討してみることとした.
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