スコープ
自賠責における高次脳機能障害認定システム
大橋 正洋
1
1神奈川リハビリテーション病院
pp.669-671
発行日 2001年7月10日
Published Date 2001/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109541
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はじめに
交通事故により脳外傷を受けた被害者のなかには,身体機能障害がほとんどなく,歩行や慣れた環境内での身の回り動作は自立しているのに,記憶,遂行機能,情緒,行動などの障害が著しいため,就労や就学などの社会参加ができない人々がいる.これは脳外傷後遺症としての高次脳機能障害が原因であると認識され,メディアや行政がこの問題を積極的に取り上げるようになった.交通事故の場合は,特に障害補償を行う立場から,高次脳機能障害を適正に認定するシステムの構築が求められていた.
そこで国土交通省(前運輸省)は,自動車損害賠償保険法(自賠法)における高次脳機能障害の認定を適正に行うシステムを確立し,平成13年1月から運用する方針とした.このために自動車保険料率算定会(自算会)ほ,前運輸省の委託を受けて,平成12年8月から12月まで検討委員会でこの課題を審議し,平成13年1月から新しいシステムに基づく高次脳機能障害の認定作業を開始している.
リハビリテーション医には,脳外傷者の後遺症診断書を記載する機会が増えていると思われる.診断書が的確に記載されていないと,交通事故被害者が不利益を被る可能性があるので,本稿では,この認定システムの概略を説明する.
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