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概要
1)福祉的就労
授産施設や作業所で施設利用者が就労することを一般に「福祉的就労」と呼ぶ,これは施設が自主事業や企業からの受注を行い,その収益を利用者に工賃として還元する労働形態である.施設利用者としての就労であるため労働法の適用はない(福祉工場は別).授産施設工賃は全国平均月額約2万円で経済保障としてはきわめて不十分な状況にある.
2)授産施設
授産施設は各々の根処法でその種別が規定されているが,現在では「相互利用制度」と「分場制度」により柔軟な利用が可能となっている.前者により障害種別を越えた利用が,後者により地域密着型の利用が推進された.知的障害者(通所・入所)授産施設は「知的障害者福祉法」を根拠とし,「……雇用されることが困難なものを入所させて,自活に必要な訓練を行うとともに,職業を与えて自活させる……」と規定されており,継続的な施設としての機能が強い.新しく規定された精神障害者授産施設が明確に社会復帰施設として規定されているのと対照的である.
授産施設を現在支えているのは措置制度だが,これはサービス内容の決定が利用者と施設の契約を基盤としていないという問題がある.このため平成15年からは,利用者と施設の対等な関係にたった利用制度に移行する予定である.
なお,最近は「社会就労センター」の名称も普及してきたが,法令上は「授産施設」のままである.
3)作業所
作業所は「小規模作業所」,「地域作業所」などとも呼ばれるが,いずれも授産施設と異なり,法的根拠はない.その数は現在約5,000か所で,国や自治体の助成によって支えられている.作業所については目下,社会福祉法人格取得要件の緩和により,小規模作業所の法定化が具体化されつつある1).
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