Japanese
English
特集 半側空間無視
責任病巣
Responsible Lesions of Unilateral Spatial Neglect.
前島 伸一郎
1
,
坊岡 進一
1
,
松本 朋子
1
,
園部 秀樹
1
,
吉田 宗人
1
,
上好 昭孝
1
Shin-ichiro Maeshima
1
,
Shin-ichi Boh-oka
1
,
Tomoko Matsumoto
1
,
Hideki Sonobe
1
,
Munehito Yoshida
1
,
Akitaka Ueyoshi
1
1和歌山県立医科大学リハビリテーション科
1Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Wakayama Medical College
キーワード:
半側空間無視
,
高次脳機能障害
,
責任病巣
,
右半球
Keyword:
半側空間無視
,
高次脳機能障害
,
責任病巣
,
右半球
pp.15-21
発行日 2001年1月10日
Published Date 2001/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109394
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はじめに
半側空間無視は体外空間の半側にある対象を無視する症状で,視空間失認の一型として位置づけられてきた.脳損傷者のリハビリテーションに携わるものにとって,半側空間無視は患者の日常生活活動(ADL)や社会復帰を阻害する巨大な宿敵にほかならない.本症状を呈する患者では,患側への無視や不注意のため,食事や更衣,移乗,歩行などのADL場面で問題が生じるだけでなく,家庭や職場においてもしばしば監視を必要とする.
一般に,右大脳半球の頭頂後頭葉接合部の病変で生じるとされているが,右後頭葉や前頭葉の病変,視床や被殻などの皮質下の病変でも生じることが知られている.また,左大脳半球病変で生じた報告もある.半側空間無視は経過中に改善あるいは消失することがしばしばあるが,残存する場合も少なくない.これらは病変部位の違いによるためと思われるが,早期よりこれらの経過が予測できれば,予後を推察するために有用である.
本稿では,半側空間無視をきたす病巣について解説を加え,病変の違いによる半側空間無視の質的な違いや随伴する症状について述べる.
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