Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「十五才 学校IV」―漂着した先はリアルな実社会
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.1183
発行日 2000年12月10日
Published Date 2000/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109379
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山田洋次監督の“学校”シリーズもIVまでくると,いくらなんでも少々くたびれているんじゃないかと心配になる.実際,その不安をかき立てるようにタイトルにも現代性がない.『十五才学校IV』ということで,少し前に話題になったキレる十四歳でも最近話題の十七歳でもない.むしろ,受験戦争時代の“十五の春を泣かせない”というレトロなコピーを想起させるのだ.
ということで,マイナスイメージを抱いての正対ということになったのだが,さすがである.これはまぎれもなく“山田ワールド”の作品である.主人公は横浜郊外に住む不登校の中学三年生川島大介(金井勇太).山田は大介に旅をさせることで二つのことを描いた.一つは,大介を狂言回しにした現代日本の姿.二つには,人間が立ち直る条件である.
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