Japanese
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実践講座 在宅医療に役立つ知識
10.下肢浮腫
Edema of Lower Extremities.
岸 幸夫
1
Yukio Kishi
1
1東京医科歯科大学医学部大学院循環制御学
1Department of Cardiovascular Medicine, Tokyo Medical and Dental University
キーワード:
Starlingの法則
,
うつ血性心不全
,
ネフローゼ症候群
,
リンパ浮腫
,
深部静脈血栓症
Keyword:
Starlingの法則
,
うつ血性心不全
,
ネフローゼ症候群
,
リンパ浮腫
,
深部静脈血栓症
pp.1049-1053
発行日 2000年11月10日
Published Date 2000/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109355
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はじめに
「夕方になると足がむくむ,眼が腫れぼったい」といった愁訴は内科の日常診療でしばしば遭遇する.しかし,このようなむくみ(浮腫)は一般に痛みや痒み等の苦痛を伴うことが少なく,また多くの場合,発症は緩徐で慢性的な経過をとるため,見逃されていることも多い.特に在宅医療患者のように,靴を履き,外出する機会が少なかったり,寝たきりの場合には,高度の浮腫が気づかれないままに放置されることがまれではない.
下腿浮腫は下腿の血管外の間質に体液が過度に貯留した状態であり,浮腫の存在自体が異常である.浮腫が直接生命を脅かすわけではないが,心臓,腎臓,肝臓の重要臓器の機能不全を反映している可能性もあり,その原因の究明が最も大切である.
本稿では,まず下腿浮腫の成因について触れ,どうして浮腫の原因が多岐にわたるか明らかにしたい.また原因に応じて,その対策は大きく異なり,緊急を要し,直ちに専門病院への入院を必要とするものから,簡単な日常的なケアで対応できるものまでさまざまである.後半でこれらの対策について具体的に述べてみたい.
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