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はじめに
脊椎外科の進歩として,特に臨床の分野における進歩について解説する.特に臨床において近年採用され始めており,また将来の進歩や普及が望まれる新技術について取り上げた.
第一には,ナビゲーションシステムの脊椎外科への応用である.本法を用いることは特に脊椎外科手術の精度を高め,より安全に手術が遂行できる支援手段としてきわめて利用価値が高いものである.また現状でも十分に臨床的価値が高いが,さらに今後の装置の高機能化が予測され,将来が大いに期待できるものである.
第二には脊椎手術の低侵襲化である.胸腔鏡や腹腔鏡を用いた脊椎の前方手術は,近年になって数多く手術が行われるようになった.侵襲が少なく,早期離床,後療法期間の短縮,早期社会復帰を可能とする.専用の手術器具も種類豊富に供給される傾向にあり,また手術手技もより多くの整形外科医が訓練を受けるようになっており,より多くの施設において行われる傾向にある.
脊椎のインストルメンテーションは脊椎側彎症や脊椎外傷の固定方法として用いられてきたが,胸椎や腰椎に主に用いられ,頸椎や頭頸移行部にはワイヤー等を用いた固定法が主体であった.しかしナビゲーションシステムの導入とともに頸椎椎弓根のような狭い場所にもスクリューを安全に刺入することができるようになった.特に頸椎腫瘍の切除術後の再建法などに用いられる機会が増えた.
脊椎手術における脊髄モニタリングは,安全に手術を行ううえで重要である.従来行われた脊髄モニタリングは運動機能についての評価を行うことができなかった.本法は現状では使用上に制約があり,まだ確度が高いとはいえないが,将来的には運動機能の評価が確実に行われる可能性がある.
最後に近年になって脊椎悪性腫瘍に対するenbloc脊椎全切除術が考案された.本法は脊椎手術に初めて根治的手術法を導入したものであり画期的といえる.脊椎外科の進歩として以上の項目をとりあげ,解説したい.
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