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はじめに
近年,人工知能(artificial intelligence:AI)の臨床応用が爆発的な広がりをみせる中,脊椎脊髄分野でも画像診断領域を中心にその活用が広がりつつある.一方,脊椎手術に目を向けると,AIの活用は限定的で,依然として術者の手技に依存する部分が多いのが現状である.しかし,1990年代後半のナビゲーションシステムに代表されるコンピュータ支援技術の臨床導入以降,脊椎手術におけるハイテク化は急速に進んでいる.
ナビゲーションシステムは,手術中に操作している器械と術野の骨組織との三次元的位置関係をモニター上で可視化し,術者を誘導する技術である.このシステムの導入により高難度の椎弓根螺子(pedicle screw:PS)が設置可能となり,インストゥルメンテーションの適応範囲は飛躍的に拡大された7,13).
さらに近年,コンピュータ支援技術は新たな段階へと進化を遂げ,脊椎手術支援ロボットが登場した.ロボットはナビゲーションを基盤としつつも,単なる視覚情報の提示に留まらず,あらかじめ計画されたPS軌道(trajectory)を術野に直接提示することで空間的な誘導を可能とする14).これは従来のコンピュータ支援技術が「情報の提供」に主眼を置いていたのに対し,ロボットは「手術手技そのものを支援する」という点で,まさにパラダイムシフトといえる.本邦では現在,ExcelsiusGPS®(Globus Medical),Mazor XTM Stealth Edition(Medtronic),Cirq®(Brainlab)の3種が認可されているが,そのコンセプトはいずれも共通している.ロボットによるPS設置精度は,胸腰椎ではナビゲーションシステムと同等もしくはそれ以上であるとの報告がある2,4).
当院では,2016年に遊走式CT(SOMATOM Definition AS with Sliding Gantry, Siemens Healthineers)を備えたハイブリッド手術室の運用を開始し,術中CTと連動したナビゲーション(Curve®, Brainlab)支援下手術が可能となった.さらに2022年3月には手術支援ロボットCirq®を導入し,現在は主に頸椎椎弓根螺子(cervical pedicle screw:CPS)設置に本ロボットを使用している15,16).
本稿では,当院における術中ナビゲーションシステムとロボットを併用したCPS設置の実際を詳述するとともに,その設置精度の検証結果を報告し,今後のAI技術への期待と展望について考察する.

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