Japanese
English
研究と報告
脳卒中患者の歩行状態と糖・脂質代謝因子について
Relation between Mobility and Metabolism of Glucose and Lipid in Stroke Patients.
横川 正美
1
,
上月 正博
2
,
後藤 葉子
2
,
佐藤 徳太郎
2
Masami Yokogawa
1
,
Masahiro Kohzuki
2
,
Yoko Goto
2
,
Tokutaro Sato
2
1金沢大学医学部保健学科理学療法学専攻
2東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻内部障害学分野
1Department of Physical Therapy, School of Health Sciences, Faculty of Medicine, Kanazawa University
2Section of Internal Medicine and Disability Prevention, Disability Science, Tohoku University Graduate School of Medicine
キーワード:
脳卒中
,
歩行状態
,
糖・脂質代謝因子
Keyword:
脳卒中
,
歩行状態
,
糖・脂質代謝因子
pp.951-955
発行日 1999年10月10日
Published Date 1999/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109078
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はじめに
インスリン抵抗性を基盤とした代謝異常の集積が動脈硬化性疾患の進展に関与するという報告は,これまで虚血性心疾患を主としてなされてきたが1,2),近年,脳卒中の発症においてもその関与が示唆されている3-5).また,欧米では脳卒中患者が無症候性心筋虚血を多く有する結果も示されている6).インスリン抵抗性とそれにより二次的に生ずる高インスリン血症は,代謝異常をきたす基盤となるだけでなく,直接的に血管平滑筋の増殖を促して血管内皮の肥厚をもたらし,動脈硬化につながるといわれている7).
このほか,いわゆる運動不足や肥満,加齢は,いずれもインスリン低抗性を促進する環境因子および修飾因子として動脈硬化危険因子に影響を及ぼす8).脳卒中片麻痺患者の場合には,麻痺による運動障害,特に歩行能力低下による日常活動量の減少で,代謝異常を起こしやすい環境下にあるといえる.それゆえ,実際に脳卒中片麻痺患者の代謝状態を調べることは,今後の虚血性心疾患発症や脳卒中再発予防における対策という点からも重要となる.本研究では,脳卒中入院患者の歩行状態と耐糖能および代謝異常に関する項目について検討した.
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