Japanese
English
特集 運動の効果とその理論
運動の糖・脂質代謝への影響
The Effect of Exercise on Glucose and Lipid Metabolism.
久保田 稔
1
Minoru Kubota
1
1関西学院大学保健館・社会学部
1Department of Sociology, Kwansei Gakuin University
キーワード:
インスリン抵抗性
,
糖尿病
,
高脂血症
,
肥満
Keyword:
インスリン抵抗性
,
糖尿病
,
高脂血症
,
肥満
pp.117-122
発行日 1999年2月10日
Published Date 1999/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108897
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はじめに
近年,わが国では,肥満,糖尿病,高脂血症が著増している.肥満とは単に体重が重いことではなく,脂肪の過剰蓄積状態であり,とりわけ内臓脂肪の蓄積は糖尿病,高血圧,高脂血症などの発症に関与する.糖尿病とは,インスリン作用が低下し,肝臓での糖産生亢進,筋肉での糖取り込みの低下などの糖代謝異常により,慢性の高血糖をきたす疾患である.高脂血症は,脂質代謝異常により,高コレステロール,高トリグリセリド(高中性脂肪),低HDLコレステロール血症をきたす疾患である.1996年に,これらの疾患を成人病と呼ばず,生活習慣病と呼ぶことが提唱された(公衆衛生審議会意見具申).これは,肥満,糖尿病,高脂血症の発症,進行に過食,高脂肪食,運動不足などの生活習慣が関与しているためである.逆に,食事療法,運動療法は有効な治療法となる.
本稿では,これらの疾病について糖・脂質代謝異常の観点から病態を述べるとともに,運動の効果と理論を述べる.
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