Japanese
English
特集 関節拘縮と治療
下肢の関節拘縮に対する手術療法―麻痺性疾患の場合
Surgical Treatment for Contractures of Lower Extremities in Paralytic Patients.
高木 博史
1
Hiroshi Takagi
1
1埼玉県総合リハビリテーションセンター
1Saitama Prefectural Rehabilitation Center
キーワード:
麻痺に伴う拘縮
,
異所性骨化
,
膝屈曲拘縮
,
麻痺性内反尖足
Keyword:
麻痺に伴う拘縮
,
異所性骨化
,
膝屈曲拘縮
,
麻痺性内反尖足
pp.633-638
発行日 1999年7月10日
Published Date 1999/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109010
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はじめに
下肢の拘縮としてよく問題になるのは大腿骨骨折後の膝伸展拘縮である.その手術療法は癒着の剥離と拘縮した四頭筋の解離であった.鏡視下手術1)の進歩で関節内の癒着剥離はより小さな侵襲でより大きな成果が期待できるようになった.しかし,高度な拘縮はJUDET法2)に紹介されるような四頭筋起始部の切離移動を必要とする.このような外傷後の拘縮は骨折後の長期固定が主たる原因であり,骨折の治療に対して優れた内固定,創外固定,CPMを利用した後療法が考案されてきた現在,症例数は確実に減少している.
一方,脊髄損傷や,脳血管障害による片麻痺に伴う拘縮は,元々身体機能が低下しているところなので軽視されがちであるが,数は少なくない.元の機能が低いからこそ,拘縮により身体状況が一段と悪化し,寝たきり状態をもきたしかねない.本稿では,このような麻痺を伴う疾患にみられる拘縮に限定して筆者の限られた経験を述べてみたい.
骨折後の長期間固定による膝伸展拘縮に対する観血的治療法は文献を参考にしていただきたい.術後持続硬膜外麻酔のもとCPMを利用すれば患者の苦痛は軽減できるので,術直後から排液チューブに注意しながら始めると術中の獲得可動域は確保できる.
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