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はじめに―社会福祉基礎構造改革と障害者保健福祉施策の再検討―
1998年12月8日,中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会は「社会福祉基礎構造改革を進めるに当たって(追加意見)」を発表した.この意見は同年6月17日に発表された「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)」と合わせて,同審議会が約2年余りかけて審議してきた社会福祉基礎構造改革の基本的な方向と改革の課題とを明らかにしたものである.
基礎構造改革が行われる背景として,上記の「中間のまとめ」は「今,時代の大きな転換期を迎えている.少子・高齢化や国際化の進展,低成長経済への移行をはじめとする構造変化は,戦後において築き上げられたわが国の社会・経済全般にわたる変革を求めている」と述べ,社会福祉の見直しと新しい枠組みの再構築の必要を指摘している.それと同時に,すでに時代の変化に対応して行われてきた社会福祉の各分野における法律一部改正や新しい制度,例えば児童福祉法の改正や介護保険法の制定などの動きを踏まえて,社会福祉の基礎構造の改革が必要となっていることも明らかにしている.
それとの関連で障害者関係施策の動向をみると,1996年の厚生省障害関係部局の統合を機に,今後の障害者保健福祉施策のあり方を審議するために,同年10月に身体障害者福祉審議会,中央児童福祉審議会障害福祉部会,公衆衛生審議会精神保健福祉部会の合同企画分科会(以下,合同企画分科会と略す)が設置されている.そして障害者保健福祉施策の在り方の検討が行われ,97年12月に「今後の障害保健福祉施策の在り方について」(中間報告)が発表された.
その後の障害者保健福祉施策に関する討議の状況は,上記の中間報告をもとに身体障害者福祉審議会,障害福祉部会,精神保健福祉部会の障害者関係3審議会はそれぞれ関連の課題についての検討を行う一方,合同企画分科会の身体障害,知的障害,精神障害の3分野に共通する重要事項として社会福祉基礎構造改革に対する障害保健福祉分野での対応について検討を行ってきた.その結果は99年1月に「今後の障害保健福祉施策の在り方について」(意見具申)として発表されている.
以下,社会福祉基礎構造改革について障害者保健福祉との関連で考察したい.
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