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実践講座 最新の神経心理学的検査
2.日常記憶の検査法―リバーミード行動記憶検査と情動性記憶の検査法
Test for Everyday Memory: Rivermead Behavioural Memory Test and Methods for Assessment of Emotional Memory.
数井 裕光
1
,
森 悦朗
1
Hiroaki Kazui
1
,
Etsuro Mori
1
1兵庫県立高齢者脳機能研究センター臨床研究科
1Division of Clinical Neurosciences, Hyogo Institute for Aging Brain and Cognitive Disorders
キーワード:
リバーミード行動記憶検査
,
情動性記憶
,
日常記憶
,
展望記憶
,
検査法
Keyword:
リバーミード行動記憶検査
,
情動性記憶
,
日常記憶
,
展望記憶
,
検査法
pp.549-553
発行日 1999年6月10日
Published Date 1999/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108993
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はじめに
かつての記憶研究は実験室内の研究が主流であり,記憶の現実的側面の研究は避けられる傾向にあった.その一つの理由として,現実的世界における記憶の研究は方法論的に困難であり,一般性が低くなることが挙げられる.しかし,近年になり,研究に生態学的妥当性(ecological validity)を持たせるべきであるとの主張がなされ1),日常記憶(everyday memory)の研究が盛んになってきた.
日常記憶とは,実際の日常生活場面で必要とされる記憶のことで,その範疇には建物などの場所の記憶,顔や名前の記憶,会話の記憶,prospective memory(予期的記憶,前方視的記憶,展望記憶),従来のエピソード記憶の特殊例である自伝的記憶(autobiographical memory)などが含まれる2).また,日常記憶には感情が大きく影響することが知られており,感情と日常記憶との関連も重要な研究課題である.
本稿では欧米で広く用いられ,現在,わが国でも標準化作業が行われている日常記憶検査のリバーミード行動記憶検査(Rivermead Behavioural Memory Test;RBMT)3-5)について概説し,次いで,日常記憶のなかでも特に注目されている情動性記憶の検査法に焦点を絞り概説したい.
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