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社会の動向
G
pp.23
発行日 1953年1月1日
Published Date 1953/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200248
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そろそろ就職時期になつて,今年は卒業生の間に大恐慌を来しているようである。電産や炭労のストによつて中小企業は大きな打撃を受け,そうでなくても足掻きに足掻いて来た中小資本は,倒産一歩手前まで追い込まれた。「死ぬ者が出てもやむを得ない」と放言した池田通産大臣は不信任決議をたゝきつけられて内閣を去るというしまつである。
悪いことには,今年の卒業生は大学では4年制の新制大学の最初の卒業生と3年制の旧制大学の最後の卒業生がだぶつて卒業する。つまりいつもの2倍の卒業生が巷にほおり出されるわけである。日本の経済のたち直りが,独立後遅々として進まず,貿易は海外市場を封鎖されている状態にあるのだから八方ふさがりである,正に失業旋風である。大学にほおり出される求職のビラは最初に見た者がはがしてしまつて他の者に見せないと言われる。世智がらい世の中になつたものである。
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