Japanese
English
症例報告
いわゆるPusher Syndromeを呈した左視床出血に伴う重症右片麻痺例への早期歩行訓練の一経験
The Early Gait Exercise for a Severe Hemiplegic Patient with Pusher Syndrome following the Left Thalamic Hemorrhage.
吉田 英樹
1,2
,
山村 広樹
3
,
松崎 隆幸
4
Hideki Yoshida
1,2
,
Hiroki Yamamura
3
,
Takayuki Matsuzaki
4
1函館新都市病院リハビリテーション科
2函館赤十字病院リハビリテーション科
3北海道千歳リハビリテーション学院理学療法学科3年
4函館赤十字病院脳神経外科
1Department of Rehabilitation, Hakodate Shintoshi Hospital
3Department of Physical Therapy, Hokkaido Chitose Rehabilitation College (The third grade)
4Department of Neurosurgery, Hakodate Red-Cross Hospital
キーワード:
視床出血
,
早期歩行訓練
,
Pusher Syndrome
Keyword:
視床出血
,
早期歩行訓練
,
Pusher Syndrome
pp.465-468
発行日 1999年5月10日
Published Date 1999/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108972
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
脳卒中後片麻痺(以下,片麻痺)例では,座位や立位等において非麻痺側方向に押される力に対し,非麻痺側上下肢に力を入れ,麻痺側方向に強く傾く現象,いわゆる“Pusher Syndrome(押す人症候群,以下,PS)”1-4)を呈することがある.PSは,片麻痺の急性期に高率に出現し1,2),患者は非麻痺側への体重移動が困難となるため,歩行をはじめとする種々の日常生活動作(以下,ADL)が障害される2,3).しかし,PSの本質的なメカニズムについて十分な解明はなされていない5).
近年,脳卒中のリハビリテーションでは,諸家により発症後早期からの起立・歩行訓練が重視されており6-8),とくに,早期歩行訓練は高次脳機能障害を伴う重症片麻痺例のADL改善に有効との報告もある9).しかし,PSを伴う片麻痺例に対する早期歩行訓練の効果について明確な報告はない.
今回,筆者らは,左視床出血発症後にPSを呈した高度の感覚障害を有する重症右片麻痺の1症例に対して早期歩行訓練を行い,PSおよびADLの改善に良好な結果を得たので,本症例の退院までの経過と併せて報告する.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.