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はじめに
生活関連動作(APDL)は日常生活動作(ADL)と関連はあるが,その概念,範囲,評価に関して統一見解はない.しかし,高齢化社会,地域リハビリテーションを念頭に置くとAPDLの概念の必要性は明らかであり,これに正面に取り組む実践的活動とそれに基づく研究が求められている1).
ADLの代表的な評価法はBarthel Index2)であり,国際的にも広く使用され,その信頼性や妥当性も確立している.評価項目は,食事,整容,排泄,更衣,入浴,排尿,排便管理,移乗,歩行,階段昇降であり,日常生活における基本的ADLの自立度を把握することができる.Barthel Indexは患者の障害像の客観的評価,病院内生活の判定,疫学的研究には大変有用であるが,患者の自宅復帰,社会復帰に関してはより高度で応用的な動作を含んだ内容を評価する必要が生じる.これらの活動はわが国ではADLと区別して生活関連動作(APDL)と仮称されるが3),家事動作を含む広義なADLであるのか,社会生活の一部をも包含するのか,ライフスタイルをも含めるのか一定の見解はない.
APDLにほぼ相当する評価には,instrumental ADL4),extended ADL5),Frenchay Activities Index(FAI)6),老研式活動能力指標7)などがあるが,Barthel Indexほど広く使用されている評価法はない.このなかでもFAIは,脳卒中患者が地域で生活するためのより高次な機能の評価として開発され6,8),評価の信頼性や妥当性も検討されており,現在の段階では最も有用な評価法の一つと考えられる9-11).近年,FAIは地域に在住する高齢者のライフスタイルの評価としても使用されるようになってきた12-14).
これらの状況のもとで,在宅スモン患者のAPDLを評価する目的で日本語版Frenchay Activities Index自己評価表(SR-FAI)を作成した15).在宅脳卒中患者16),福祉施設で働く障害者の評価17),在宅の中高齢者18)にも使用し,リハビリテーション医療上,有意義と考えられたので,SR-FAI評価表,臨床応用,標準値を紹介する.
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