Japanese
English
症例報告
言語訓練中に血圧および発話症状の白衣現象を呈した純粋発語失行の1例
A Case Report: White Coat Phenomenon during Speech Therapy in Patient with Pure Speech Apraxia.
谷 哲夫
1
,
坂本 浩之助
2
,
中島 洋巳
3
,
長谷川 靖英
3
,
高橋 本司
3
,
菅井 芳郎
4
Tetsuo Tani
1
,
Hironosuke Sakamoto
2
,
Hiromi Nakajima
3
,
Yasuhide Hasegawa
3
,
Motoji Takahashi
3
,
Yoshiro Sugai
4
1日高病院リハビリテーションセンター言語療法室
2群馬大学医学部第2内科
3群馬県医師会沢渡温泉病院言語療法室
4群馬県医師会沢渡温泉病院内科
1Department of Speech Therapy, Hidaka Hospital
2Second Department of Internal Medicine, Gunma University School of Medicine
3Department of Speech Therapy, Sawatari Spa Hospital, Gunma Medical Association
4Department of Internal Medicine, Sawatari Spa Hospital, Gunma Medical Association
キーワード:
白衣現象
,
純粋発語失行
,
収縮期血圧
Keyword:
白衣現象
,
純粋発語失行
,
収縮期血圧
pp.159-163
発行日 1999年2月10日
Published Date 1999/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108904
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はじめに
家庭では血圧が正常であるのに,病院の外来では高血圧である場合を白衣高血圧という.この現象は,患者が医師や看護婦を前にして精神的に緊張することによって惹起されるもので,白衣現象と呼ばれる1).われわれは既に,血圧の白衣現象が言語障害のある患者が言語療法を受ける際にも出現しうることを報告した2-4).患者がひとりで行う訓練(以下,自主訓練)場面の血圧は訓練前と比べてほとんど変化しないのに,言語療法士と一緒に行う訓練(以下,対面訓練)場面では血圧が著しく上昇するのである.
最近,われれは言語療法室に入ると極度に緊張すると訴える純粋発語失行の患者を経験した.患者は病室で患者同士で会話をするときはうまくしゃべれるのに,訓練室ではしゃべれないという.本症例のように訓練室で緊張しやすいという患者では,言語療法士と向き合うことによって血圧の白衣現象が起こっている可能性が高い.
今回,われわれは,言語訓練中の血圧変動を対面訓練場面と自主訓練場面とで比較することによって,本症例で血圧の白衣現象が生じていることを証明した.同時に,発語失行症状にも白衣現象が起こりうることを初めて観察したので報告する.
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