Japanese
English
症例報告
前頭葉性無動性無言を呈した1例に対する言語療法の試み
Speech Therapy for a Patient with Frontal Akinetic Mutizm.
渡辺 佳弘
1,3
,
梶原 敏夫
2
Yoshihiro Watanabe
1,3
,
Toshio Kajiwara
2
1小林記念病院リハビリテーション科
2藤田保健衛生大学七栗サナトリウム
3名古屋大学大学院人間情報学研究科
1Department of Rehabilitation, Kobayashi Memorial Hospital
2Nanakuri Sanatorium, Fujita Health University
キーワード:
無動性無言
,
超皮質性運動失語
,
前頭葉
,
言語療法
Keyword:
無動性無言
,
超皮質性運動失語
,
前頭葉
,
言語療法
pp.165-168
発行日 1999年2月10日
Published Date 1999/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108905
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はじめに
無動性無言(akinetic mutizm)とはCairnsら(1941)により報告された症候で,開眼し一見覚醒しているようにみえるが言葉を出さず,眼球運動を除いて自発的な体の動きがない状態である1-3).無動性無言には網様体性のものと前頭葉性のものがあり,網様体性のものは意識障害の一種と捉えられるが,前頭葉性のものは高位神経機能の障害の結果,精神活動の能動性が喪失した状態とする説がある1).
今回,われわれは両側前頭葉損傷により無動性無言を呈した1例を経験した.これまでに無動性無言の系統的な言語療法についての報告はほとんどなされておらず,言語療法の有効性についても明らかにされてはいない.われわれの症例は系統的な言語療法を試みた結果,症状に明らかな改善がみられたため,その経過を報告し,併せて言語療法の可能性についても考察を行う.
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