連載 体力向上のための運動プログラム
慢性呼吸器疾患患者の運動プログラム
吉田 直之
1
1公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸ケアリハビリセンター
キーワード:
慢性呼吸器疾患
,
息切れ
,
健康関連体力
,
運動プログラム
Keyword:
慢性呼吸器疾患
,
息切れ
,
健康関連体力
,
運動プログラム
pp.1565-1567
発行日 2012年12月10日
Published Date 2012/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108858
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
より快適に日常生活を送ることはみんなが求めている目標であり,慢性呼吸器疾患患者もその例外ではない.慢性呼吸器疾患患者は,「息が切れる」という不快な感覚(呼吸困難)のためにしばしば身体的な活動を避けようとする.さらに,まわりの友だちや家族そして医師までもがあまり無理して動かないように患者に言う.無理して動くのは有害だからという理由で.しかし,長年にわたる調査からこのことは間違っていることがわかってきた.動かないでいることは患者に害をもたらす敵である.座ってばかり,寝てばかりは体調を崩し,筋肉を弱くし疲れやすくする.そして息切れがさらに強くなっていくという悪循環に陥ってしまう.慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)では,動かない(活動度の低い)人ほど息切れが増強しやすく,急性増悪で入院する頻度も高いことがわかっている1).しかしこのような悪循環は規則的な運動プログラムで断ち切ることができる.
慢性呼吸器疾患患者に対する運動療法の目的は,全身の筋肉(骨格筋・心臓・呼吸筋)を疲れにくい筋肉に変えることで息切れと筋肉疲労を軽くして,日常生活をより快適に送ってもらう;そして健康関連体力(抵抗力)を向上させて急性増悪を防ぐことである.目的を達成するためには運動の継続が必要となるが,それには患者一人ひとりに合ったゴール(たとえば,息切れのために諦めていた家族旅行をするなど)を設定することが有用となる.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.