Japanese
English
短報
運動障害患者におけるインスリン抵抗性―高トリグリセリド血症を有する症例における合併頻度とリハビリテーション医学における位置付け
Insulin Resistance in Patients with Motor Impairment: Frequency of Insulin Resistance in Patients with Hypertriglyceridaemia and Position of Insulin Resistance in Rehabilitation Medicine.
間嶋 満
1
,
近藤 徹
1
,
江口 清
1
,
藤井 泰
1
,
小宮山 剛平
1
,
鈴木 英二
1
Mitsuru Majima
1
,
Toru Kondo
1
,
Kiyoshi Eguchi
1
,
Hiroshi Fujii
1
,
Gohei Komiyama
1
,
Eiji Suzuki
1
1埼玉医科大学リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, Saitama Medical School
キーワード:
運動障害者
,
インスリン抵抗性
,
高トリグリセリド血症
,
耐糖能異常
,
高インスリン血症
Keyword:
運動障害者
,
インスリン抵抗性
,
高トリグリセリド血症
,
耐糖能異常
,
高インスリン血症
pp.1189-1192
発行日 1998年12月10日
Published Date 1998/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108828
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はじめに
近年,虚血性心疾患の発症の要因として,インスリン抵抗性が重要視されており,このインスリン抵抗性が生じる背景のひとつに身体活動量の低下が挙げられている.
ところで,欧米での報告では,脳卒中患者において無症候性心筋虚血の合併が多いことが指摘されている1),また,脊髄損傷患者では同年齢層の健常者に比較して虚血性心疾患に罹患する割合が統計学的に有意に高いことが明らかにされている2).脳卒中患者と無症候性心筋虚血ならびに脊髄損傷患者と虚血性心疾患とを結びつけているものとして,前述のインスリン抵抗性が考えられる.なぜならば,これらの患者においては運動障害を有するが故に,インスリン抵抗性が生じる背景となっている身体活動量の低下が存在するからである.
日常生活における身体活動量の低下は,当然のことながら,脳卒中や脊髄損傷以外の運動障害を有する患者にも認められることから,いかなる運動障害者においてもインスリン抵抗性の存在が予想される.そして,インスリン抵抗性に起因する虚血性心疾患によって健康が損なわれ,新たな障害が加わることが推測される.
このように,インスリン抵抗性を運動障害者の健康維持・増進の阻害因子として捉え,運動障害者とインスリン抵抗性との関連を検討した報告はみられない.本研究では,運動障害者における健康とインスリン抵抗性との関連を検討する前段階として,運動障害者におけるインスリン抵抗性の合併頻度を検討した.また,その結果を基にリハビリテーション医学におけるインスリン抵抗性の位置付けについての考察を加えた.
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