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特徴
DACS AFO(Dorsiflexion Assist Controlled by Spring AFO)は,多くの片麻痺者を対象とした歩行分析の結果をもとに「歩きやすさ」に重点をおいて開発された装具である.DACS AFOでは歩行中遊脚期のクリアランス確保のみでなく,立脚期の足関節制御を行うことができる.
DACS AFOの構造は足部と下腿部が足継手で結合され,下腿部後方には力源ユニットが組み込まれている.
歩行立脚初期の踵接地からフットフラットにかけて,足継手の底屈に伴い力源ユニット内のばねが圧縮されて抵抗を生じる.この抵抗は足関節底屈に対する背屈筋群の遠心性の活動に相当する.抵抗の大きさを使用者の状態に応じて調節することによって,立脚初期の足部に対する膝の位置をコントロールすることができ,結果として膝の過伸展と不安定を軽減することができる.
立脚中期から後期にかけては足継手が背屈方向に抵抗なく回転するために,体重心の滑らかな前方移動が可能である.遊脚期には使用者の状態に応じて設定された足関節中立位の角度によってクリアランスをとることができる.
底屈に対する抵抗はばね常数の異なる4種類のばねを交換することによって,硬い靴べら式装具と同等の硬さからスパイラル装具と同等の硬さまで調節可能である.この調節範囲はクレンザック継手つき装具の調節範囲の約5倍である.
DACS AFOの長所は,製作後に使用者の状態に応じて装具の機能を広範囲で簡便に調節できる,足関節背屈方向の動きに抵抗がないため平地歩行だけでなく坂道の上り下りが楽に行えることである.
短所としては,外観が悪い,下腿後部がやや突出しているため階段下り時にぶつかる,通常のプラスティック装具に比べて約100g重い,製作に時間がかかるなどがあげられる.
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