書評
辻 一郎 著―健康寿命
辻 哲也
1
1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
pp.1096
発行日 1998年11月10日
Published Date 1998/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108808
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
寿命の科学にたずさわる気鋭の研究者である著者が,丹念なフィールドワークと数多くのデータをもとに,公衆衛生学の最先端の内容を分かりやすい言葉で書き下ろした一般向けの書である.著者は東北大学医学部を卒業後,リハビリテーション医学に従事,専門医取得後,公衆衛生学に転身,米国ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生学教室留学を経て,現職である東北大学医学部公衆衛生学助教授となった.
今までの平均寿命は「あと何年生きられるか?」という生存の量のみに焦点を当てた指標であった.題名の健康寿命とは,心身ともに自立した活動的な状態で生存できる期間,つまり「あと何年,自立して健康に暮らせるか?」を測定するもので,生活と健康の質を考慮した新しい指標である.健康寿命は,活動的平均余命と痴呆のない平均余命に分けられる.前者は食事,更衣,排泄,入浴などの日常生活動作(ADL)を自立して行える生存期間,後者は痴呆のない生存期間を測定するものである.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.