巻頭言
リハビリテーション医とリーダーシップ
近藤 克則
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.911
発行日 1998年10月10日
Published Date 1998/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108769
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今年の日本リハビリテーション医学会のパネリストとして「脳卒中病棟(Stroke Unit)におけるリハビリテーション医の役割」を報告した.リハビリテーション医の役割として全身管理と早期リハビリテーションの2つについては自験データに基づいて述べたが,3番目にチームリーダーとしての役割を加えるのに少し躊躇した.臨床経験からその重要性は明らかだが,それを示せる自験データがなかったからである.しかし,重要なことがすべて実証的に示せるわけではないと考え,リーダーシップの重要性を述べた.
多数例を対象に実証的データで示す科学的方法では,評価尺度にのりづらいものや個別性がしばしば犠牲になる.それに対し,芸術の世界では,客観的評価尺度はなくとも多くの人が認める(感じる?)“価値”が「この1枚の絵」にあるか否かで評価される.医師に求められるリーダーシップは,客観的には評価しづらいが,よきリーダーは多くの人に支持されるし,そのリーダーの個性に大きく依存しているので,科学的方法の対象というより芸術の対象に近いと思う.おそらく数多くの観察(鑑賞?)をしたほうが目は肥えてくるであろうし,自分なりに評論・模倣しているうちに多少は“より価値あるもの”に近づけると思える.
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