リーダーシップ

チーム医療におけるリーダーシップとは

　リーダーシップと聞いて，どんなことを思い浮かべるだろうか？　一国の首相や大統領，大企業の社長など，行動力や決断力があり，自信に満ちて周りをぐいぐいと引っぱるカリスマだろうか．以前は，これらのポジションとしてのリーダーがトップダウンで組織を動かすというのがいわゆる典型的なリーダーシップであったかもしれない．しかし，VUCA （volatility：変動性，uncertainty：不確実性，complexity：複雑性，ambiguity：曖昧性）の時代といわれる昨今，医療現場において私たち医療者は，きわめて高い専門性と個別性の中，正解のない問いに直面することもよくある．そうなると，リーダー1人の意思決定では対応できないこともしばしば起こりうる．

　そこでチーム医療が必要になり，専門性や役割，教育背景などが異なる多職種で協働することが求められる．刻々と変わる状況の中でも安全で間違いなく業務を遂行しなければならず，「リーダー」とよばれるポジションの人だけではなく，チームのメンバーそれぞれが自ら考え，専門性を発揮したうえで知識と経験を共有しながら対処する必要がある．ここでは，そのようなチームをまとめるリーダーシップについて解説していきたい．