Japanese
English
講座 老化と心身機能
3.病理学からみた脳の老化と画像診断
Diagnosis with CT and MRI in Brain Aging: From Pathological Point of View.
水谷 俊雄
1,2
Toshio Mizutani
1,2
1東京都老人総合研究所神経病理研究部
2東京都立神経病院検査科
1Department of Neuropathology, Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology
キーワード:
加齢
,
萎縮
,
アルツハイマー型痴呆
,
画像
,
病理学
Keyword:
加齢
,
萎縮
,
アルツハイマー型痴呆
,
画像
,
病理学
pp.853-860
発行日 1998年9月10日
Published Date 1998/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108750
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はじめに
最近のコンピューター断層画像(CT)や磁気共鳴画像(MRI)は,その鮮明な画像故に,あたかも剖検脳そのものを見ているような錯覚に陥らせ,しばしば,われわれは病理解剖所見と同等の価値付けをしがちである.将来的には,病理標本と同じ程度の厚さで,脳の細部を観察できるとしても,現時点では細胞や組織の構造をCTやMRIでみることはできない.筆者はブレインカッティングの際に,必ず画像と照らし合わせながら所見をとっているが,その経験からしても,画像所見と解剖所見に大きなギャップがあると言わざるをえない.
病理学的には,現在のCTやMRI所見のうちで最も信頼度の高いものは,低吸収域や高信号域の有無などではなくて,形の変化である.しかし,それでも判断が難しいものが,加齢に伴う脳の萎縮と疾病,とくにアルツハイマー型痴呆(ATD)との鑑別であろう(図1).なお,本項では,ATDを70歳代以前に発病する狭義のアルツハイマー病(AD)と70歳代以降に発病するアルツハイマー型老年痴呆(SDAT)に区別する1,2).
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