Japanese
English
特集 痛みへの対応
―対応に難渋する痛み―神経因性疼痛
Neuropathic Pain.
宇野 武司
1
Takeshi Uno
1
1宮崎医科大学附属病院手術部
1Surgical Division, Miyazaki Medical College
キーワード:
神経因性疼痛
,
求心路遮断性疼痛
,
神経電気刺激療法
Keyword:
神経因性疼痛
,
求心路遮断性疼痛
,
神経電気刺激療法
pp.747-751
発行日 1998年8月10日
Published Date 1998/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108726
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はじめに
外傷や疾患により組織損傷が起こると自発痛と痛覚過敏が現れ,通常は,治癒に伴いこれらの症状は消える.神経が損傷されると,損傷の原因となった物理的刺激や炎症が治まった後,感覚低下または脱失領域を中心に異常な痛みが現れ,長引くことがある.この痛みは,治癒段階に現れ,しかも痛覚が低下した部位に訴えられるため,奇妙に思われ,痛みの存在すら疑われることがある.この痛みは難治性であり,モルヒネが効きにくく,他の治療によっても完全除痛は難しい.
1994年,国際疼痛学会は神経系の病変あるいは機能異常から生じる痛みを神経因性疼痛と称し,末梢神経系の障害によるものを末梢性,または脊髄から視床,皮質に至る中枢神経系の障害によるものを中枢性と分類している1).
この定義によると,神経損傷の早期にみられる炎症性疼痛を含むことになるが,通常は回復期に現れ,それ以後も長引く異常な痛みを意味している.
この痛みは,程度の差はあれ,求心入力が障害されたところに現れるため,求心路遮断性疼痛とも言われてきた.しかし,その概念は統一されず,末梢および中枢神経系における痛覚伝導路の障害に伴う痛み,または神経支配領域が無感覚になったところに現れる痛みに限るなどさまざまである2).
ここでは神経因性疼痛と表し,代表疾患に感覚脱失が大きく,リハビリテーションに関連が深いものを取り上げる.
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