巻頭言
介護保険におけるリハビリテーション介護と介護モデルの構築に向けて
住居 広士
1
1広島県立保健福祉短期大学理学療法学科
pp.717
発行日 1998年8月10日
Published Date 1998/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108720
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1997年12月9日に介護保険法が国会で成立し,2000年4月から介護保険制度が実施されることになります.40歳以上の国民が保険料を支払い,申請した65歳以上の要介護高齢者と40歳以上の特定の疾病による障害者が,要介護の6段階の認定ランクに応じて介護サービスを受けることができます.今年から全国市町村で介護保険モデル事業ならびに介護保険計画,介護支援専門員(ケアマネジャー)の研修受講試験も開始されてきます.介護保険法施行にあたり保健医療福祉の基本的な構造改革により,新たな介護モデルを展望できるだけに,介護保険はリハビリテーション関係者にも最大の課題となってきます.
今まで高齢者は耐え,あきらめて介護を受けてきました.たとえ老いて介護を要する身になっても,また障害者になっても,命のある限り尊厳をもって人生を全うしたい.このあたりまえの思いを,個人とか家族だけでの介護で担っていくのは困難な時代を迎えています.今までは,医学モデルにより診断し,治療して生命の延長(Length of Life;LOL)を図りました.そして障害モデルにより生活の質(Quality of Life;QOL)の向上が介護の理念でありました.これからの長寿社会では,要介護状態でもいかに「尊厳のある生活(Respect of Life;ROL)」を護り介(たす)けていくかという介護モデルの理論と実践が求められています.要介護者に対して,医学モデルと障害モデルだけでは十分に支えていけない現実があるからこそ,新たな介護モデルを構築しなければなりもせん.
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