Japanese
English
実践講座 リハビリテーション診察法
1.リハビリテーション医療における問診と診断
History Taking and Physical Examination in Rehabilitation Medicine.
千田 富義
1
Tomiyoshi Chida
1
1秋田県立リハビリテーション・精神医療センター
1Akita Prefectural Rehabilitation and Psychiatric Center
キーワード:
問診
,
診察
,
機能的状態
Keyword:
問診
,
診察
,
機能的状態
pp.661-665
発行日 1998年7月10日
Published Date 1998/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108705
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はじめに
臨床医学において,問診(inquiry)と診察(physical examination)は臨床診断に到達するまでの重要な過程である1).問診は,病歴を中心とした医学的情報を患者・家族あるいは関係者から聴取して収集する過程である.診察は,視診,触診,打診,聴診などにより,医師が直接患者を検査して,疾病の結果生じる身体所見を収集する過程である2),註1).問診では病気の経過についての自覚的な所見(症状;symptom)が中心に聴取され,診察では医師によって他覚的異常(徴候;sign)が発見される3).症状の例としては頭が痛い,十分に力が入らない,などであり,徴候の例としては運動麻痺,腱反射亢進などがある.
問診・診察が臨床診断過程の重要な手段であるため,問診・診察のスタイルは臨床診断の目的,内容によって影響される.臨床診断の目的が異なれば,問診・診察で得ようとする情報の範囲も異なってくる.リハビリテーション医療での問診・診察を検討する場合,リハビリテーション医療の特質,そのなかでの臨床診断の位置づけを明確にすることから始まる.ここでは,リハビリテーション医療における臨床診断,必要な情報,問診・診察の進め方についての基本的事項を概論する.
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