6．透析患者に対する口腔ケアとリハビリテーション（2）血液透析患者の口腔乾燥改善を目指した口腔ケアプログラムの実践

血液透析患者は，水分制限，多剤併用，基礎疾患，高齢化により口腔乾燥が多く，食事摂取の困難，味覚障害，義歯の不適合，う蝕や歯周病のリスク増加などに重大な影響を及ぼす．唾液分泌を促進する介入は，口腔内の不快感の除去にとどまらず，全身的な感染症予防，栄養状態の改善，QOLの維持・向上にもつながる．血液透析患者の口腔乾燥に対する透析中に看護師が実施する口腔ケアは，口腔乾燥感の軽減や唾液分泌の自覚的改善，歯磨きの頻度・方法の変化などの行動変容を認めた．患者教育の要素を含めた介入や，地域歯科医療との連携を図ることで，透析患者の口腔健康ひいては全身の健康を支える持続可能な体制を検討することが必要である．