巻頭言
労災リハビリテーション医療の現場から
住田 幹男
1
1関西労災病院リハビリテーション診療科
pp.511
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108672
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昨今の行政改革の一環として,労働福祉事業団および労災病院の存在価値が再検討されていることは周知のところであろう.事業団の事業の核は全国労災病院であり,そのなかでリハビリテーション医療は重要な柱の一つである.リハビリテーション医の配置・リハビリテーションスタッフ数・リハビリテーション施設については全国でもトップクラスである.しかし,その内実,すなわちリハビリテーション医療の質が問題である.現在の病院に小生が赴任して14年になるが,リハビリテーション病床の確保・リハビリテーション外来のセンター化と整形外科物療部門のリハビリテーション科への移行を果たしたのは約3年前のことである.基幹病院でもこのあり様である.
高度成長期に総合病院化を推進する一方で,職場環境の改善による労災患者の激減のため,労災病院での労災取り扱い患者の占める割合は数パーセントとなっている.かつての労災病院―脊損病棟―社会的入院といった暗いイメージはかなり薄らいできている.このようななかで,事業団首脳部は“労災医療から勤労者医療へ”をスローガンにして病院の体質改善を図ろうとしているが,そのイメージを確立することは並大抵のことではない.
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