Japanese
English
特集 脳性麻痺の二次障害
心肺機能障害
Disorders of Circulatory and Respiratory Function on Cerebral Palsied Persons.
落合 幸勝
1
Yukikatsu Ochiai
1
1東京都立北療育医療センター小児科
1Department of Pediatrics, Tokyo Metropolitan Kita Medical Rehabilitation Center for the Handicapped
キーワード:
脳性麻痺
,
呼吸障害
,
予防対策
Keyword:
脳性麻痺
,
呼吸障害
,
予防対策
pp.327-329
発行日 1998年4月10日
Published Date 1998/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108635
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はじめに
図は,北療育医療センターで経験した成人脳性麻痺者103名の診療科別合併症の割合をグラフで見たものである.表は,その内科的合併症の内訳を示している.呼吸器合併症が多く,なかでも肺炎の反復が多いことがわかる.
重度脳性麻痺では,アテトーゼ運動や痙縮,強剛といった異常筋緊張があり,また,姿勢反射異常の影響を示し,後弓反張位や脊椎側彎,肩関節拘縮,胸郭の運動制限を持つ者が多い.深呼吸をしたり,咳をするなどの随意運動も,異常な筋緊張や不随意運動に妨げられる.胸鎖乳突筋は肥大し,絶えず一方向に頭を向けているなど,アテトーゼ型四肢麻痺では,とくに顔面,舌を含む筋緊張の異常がみられる.これら胸郭の変形および呼吸筋の動きの制限,さらに中枢性の呼吸異常などの呼吸障害,誤嚥などによる下気道感染症が加わり,重度脳性麻痺では呼吸障害は重要な二次障害である.
心機能障害は,脳性麻痺の心肺機能障害では先天性心疾患以外,呼吸障害による呼吸不全に起因して起こることが多いため,この稿では主として呼吸障害について述べることにする.
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