巻頭言
市場原理のなかでのリハビリテーション医学
田島 文博
1
1産業医科大学リハビリテーション医学教室
pp.207
発行日 1998年3月10日
Published Date 1998/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108609
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あらゆる分野において市場開放と市場原理の導入が叫ばれている.医療界は人の命を扱うという特殊事情があり,一概に他の分野と同一に論じられないが,その洗礼は避け難い.市場原理の導入がもたらす劇的な変化は,不必要な部分は競争の結果として淘汰され,必要とされるところ,すなわち需要のある分野は発展する.
リハビリテーションにおける需要を考えてみると,多くの病院と医院がリハビリテーション科の看板をあげていることなどから,比較的楽観してよい状況であると考えられる.この点からは,市場原理が導入されてもリハビリテーション医学はますます発展することが期待される.需要を賄うためには,供給側,特にリハビリテーションの核となるリハビリテーション医学専門の医師の養成が急務である.その中心的役割を果たすべき大学医学部にリハビリテーション医学講座の設置が不可欠である.しかし,予算の問題はあるにしても,リハビリテーション医学講座の増設どころか,既存のリハビリテーション医学講座への入局者の減少すら問題となっている.何故この受給のアンバランスが発生しているのであろうか?
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