地球の子どもたち・10
市場のオシッコ
長倉 洋海
pp.1048
発行日 1991年12月25日
Published Date 1991/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900462
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中米グアテマラ。メキシコの南にあるこの国ではマヤ系のインディオが人口の六割を占める。市場はあでやかな民族衣装を着た女たちの商いの声でにぎやかだ。バナナやオレンジを入れた大きなカゴの後ろに子どもたちの姿が見える。女の子は母親とそろいの柄で出身部族がわかる衣装を着て、店を手伝っている。男の子はお父さんと一緒に野菜や果物を入れたカゴに荒ナワをつけて運んでいる。
毎日のように雨が降る.雨季。彼らの住まいがある市場の裏のスラムはすぐぬかるんでしまう。だからこの男の子も長靴をはいている。頭にはスカーフをまいてもらっている。店の仕事を手伝うつもりなんだろう。なのに、逆にオシッコをお母さんに子伝ってもらっている姿が、おかしかった。
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