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書評「市場原理に揺れるアメリカの医療」
今中 孝信
1
1天理よろづ相談所病院
pp.206
発行日 1999年2月25日
Published Date 1999/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102958
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わが国は国民皆保険によって“誰でも,いつでも,どこでも,平等に”医療を受けられることを誇りとしてきた.しかしながら,検査漬け,薬漬け,3時間待ちの3分診療などと言われるように,医療の質やサービスについて国民の不満が大きい.更に,国民は現物支給方式によって窓口で医療費を支払わないため医療はタダという意識を作り,医者はでき高払い方式によってコスト意識が働かず,医療費の増大を招いてきたことは事実であり,これからの高齢社会に対応するためにも医療の抜本的な改革が求められている.
このような状況に対して,厚生省はもっぱら医療費対策の面から矢継ぎ早に対策を打とうとしている.すなわち,平均在院日数の“しばり”によって急性期病床と慢性期病床に分け,過剰になった一般病院の病床数を削減する.いろいろな方法によって医師数を減らす.医療費の支払い方式としてDRG・PPS(診断群別定額支払い方式)を慢性疾患だけでなく一部の急性疾患についても導入する,等々である.
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