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はじめに
慢性関節リウマチの治療の三本柱が内科的治療,外科的治療,リハビリテーションであることは言うまでもない.しかし,'90リウマチ白書1)をみると,アンケートに回答した8,020名のリウマチ友の会会員のかかっている診療科は,整形外科44.0%,リウマチ外来39.5%,内科23.2%に対し,理学診療科3.4%,リハビリテーション科2.6%という状況で,三本柱の1本は患者さんの支えにもなっていない現実が明らかになっている.一方,同じ調査のなかで医療への要望の項目では,会員の約4分の1の方はリウマチのリハビリテーション指導を受けたいと回答している.
この矛盾した2つの回答の原因を'95リウマチ白書2)の,リハビリテーションをしない理由に対する回答にみることができる.すなわち,その回答は,医師からの指導がない39.2%,特に不便がない31.5%,通院が負担19.3%,理学療法士(以下,PT),作業療法士(以下,OT)がいない11.0%などであり,医師のリハビリテーションに対する認識の低さがいまだに存在することが明らかである.今年度,リウマチ科とリハビリテーション科が標榜科として認められたが,われわれリハビリテーション専門職は医学界のなかで,リハビリテーションの啓蒙に努めることが今後も必要なようである.
さて,'95リウマチ白書のなかで,リウマチ患者さんがリハビリテーション指導者に望むことは,家でできるリハビリテーション37.5%,日常生活上の指導22.0%,装具・住まい改造などの指示18.2%となっているので,日常生活の指導がリウマチ患者さんに対するリハビリテーションの重要な役割であることが理解できる.そこで本稿では,リウマチ患者さんに対する生活管理のポイントとして関節保護,適切な動作,関節の負担を軽減する生活環境の指導などに焦点をあて,成書に記載された内容を確認し,われわれが行っている日常診療の内容を紹介する.
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