知的障害―学習障害（LD）も含めて

Intellectual Disability.

　知的障害という用語の使用について

　精神薄弱（Mental deficiency）と称されていた障害について，現在は精神（発達）遅滞（Mental retardation），さらには知的障害（Intellectual disability）という用語が使用されつつある．本邦での最近の動向としては，福祉関係を中心に，知的障害に統一される動きが強まっている．

　本来，実際に使用される用語は異なっていても，その用語が定義しようとする障害に違いはないはずである．内容をみてみると，アメリカ精神薄弱学会AAMRによるMental retardationの定義では，知的機能の低下とともに，適応行動の障害を診断基準に入れている．DSM-IV，ICD-10による定義も同様で，知的水準の判定と同等に，社会への適応行動の障害程度を重要視している．これに比べ，本邦では知能指数IQ（Intelligence Quotient）を診断基準とするのが主流である．知的障害という表現は，さらにこの知的水準の偏重傾向を助長する可能性をはらんでいることを指摘する意見もある²⁾．