Japanese
English
特集 リハビリテーションと情報
視覚障害者の情報アクセス環境の現状
The Environment of Access to Information for the Visually-impaired: the Present Situation.
立花 明彦
1
Akehiko Tachibana
1
1日本点字図書館
1Japan Braille Library
キーワード:
パソコン通信
,
点字
,
音声
Keyword:
パソコン通信
,
点字
,
音声
pp.22-26
発行日 1996年1月10日
Published Date 1996/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108018
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はじめに
人は日々の生活において8割以上の情報を目から得るという.この点において障害をもつ視覚障害者は,歩行,コミュニケーション,読書,買い物をはじめ,職業に至るまで幅広い範囲で多くのハンディキャップを強いられる.「視覚障害は情報障害」としばしば呼ばれる由縁がここにある.各地のリハビリテーションセンターの視覚障害生活訓練施設や点字図書館,ボランティア・グループなどでは,これらの障壁を少しでも取り除くべく各種のサービスを提供している.
近年,コンピュータをはじめとする技術の進歩と絶え間ない改良により,視覚障害者の情報アクセス環境に変化が見られるようになった.各家庭に普及しつつあるパソコン,視覚障害者はディスプレイに表示される文字やメッセージが見えないため,ただの箱にすぎなかった.ところが,表示文字を拡大・音声化させるソフト,ハードの開発によってパソコンは有用な情報ツールとなりつつある.これまで墨字(点字に対して晴眼者の使用する文字の総称)が書けなかった視覚障害者は,パソコンを使ったワープロ・ソフトの開発で漢字かな混じり文を書けるようになった.パソコン通信を利用してデータベースなどへアクセスすることで多くの情報を入手できるようにもなってきている.
「視覚障害者の情報アクセス環境」といっても,それは幅広い.そこで本稿では,文字を中心とした情報アクセス環境に限り現状を述べることとする.
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