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はじめに
「……予言と予防は共通の意味をもっている.何か悪いことがおこるであろうという予見,不公平を正そうとする一途な情熱,そして失明は確かに最も最大な不幸である」
1971年エルサレムにおける第1回失明予防国際セミナーが開催された時のマイケルソン教授がおこなった開会の辞の一節である.
失明という最も最大な不公平を予見し,予防し,正そうという努力は具体的には視力障害者のリハビリテーションと失明予防に向けられねばならない.リハビリテーションに当り,視覚障害が他の障害とことなるところは機能回復が困難な場合が多いことである.
弱視に対するメガネ,コンタクトレンズ,弱視眼鏡等があるが,それをもちいてもなお障害の残るものがリハビリテーションの対象になるのであって,弱視者がメガネ等,補装具を用いて視力を回復し,視力障害をのこさなければこれは「リハ」の対象ではなく視覚障害者とはいわない.したがって視覚障害者とは「医学的手段(補装具を含む)を使ってもなお視覚障害すなわち,視力障害,視野障害,色覚障害(色盲等),光神障害(夜盲等),両眼視機能障害(立体視欠除等)のあるもの」をいう.
われわれは昭和39年より眼科外来の一部に視覚障害者の相談指導を目的とした「眼科リハビリテーションクリニック」を開設して来た.また昭和42年から数年間,東京都身体障害者更生相談所で判定医として都内全域の身体障害者の検診をした.また昭和43年~45年にかけて沖縄全域の身体障害者の巡回検診に参加した.これらの経験を通して,視覚障害者を診ることは眼科医療の答案をみているようなもので医療の実態と欠点がよくわかるとの感を抱いた.
これらの知識を眼科医として失明予防につなげなければならないと常々考えていた.
そこでこの企画の中で現状と失明予防を,リハビリテーションと組合せて取り上げて見た.今後,リハビリテーションに関係するもののあり方として常に予防を念頭において考え,その知識を予防,治療の上にフィードバックして行かねばならないと信ずる.
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