スコープ
「特別なニーズ教育とインテグレーション学会」(略称:SNE学会)の設立
高橋 智
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1東京学芸大学障害児教育学科障害児教育学講座
pp.1099-1100
発行日 1995年12月10日
Published Date 1995/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108006
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1.新しい学会の設立背景
いま,障害児・者の教育をとりまく環境は急速に変化しつつある.たとえば,国連総会で採択された「障害者の機会均等化に関する基準規則」(1993年12月)では,障害者に対する十分で「適切な支援サービス」(適切なカリキュラム,質の高い教材,補助教員の加配,継続した教員研修など)の提供を前提とした「統合された環境(integrated settings)」での教育の機会均等を原則に打ち出している.
またユネスコの「特別なニーズ教育に関する世界大会」(1994年6月)において採択された「特別なニーズ教育に関するサラマンカ声明と行動大綱」では,「すべての子ども達のための学校」(School for All;SFA)という標語で,学校がいろいろな違いを持った子ども達の学習と発達,連帯と平等の場となることを強く求めている.そのために,なによりも通常の学校が一人ひとりの子どものニーズに応えられるように変革されるべきであるとしている.同時にサラマンカ声明では,障害児に対して,障害の程度や種類によっては特別な教育が必要であることも否定していない.そのことは,子どもの最善の利益を第一義的な権利として掲げる「子どもの権利条約」(1989年11月国連総会採択)でも,その第23条(障害児の権利)で「障害児の特別なケアへの権利」と「障害児の特別なニーズ」を承認しているのである.
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