Japanese
English
巻頭言
学会設立20周年を迎えて
In 20th anniversary of the JAGN establishment
正木 治恵
1
Harue Masaki
1
1千葉大学大学院看護学研究科
1Graduate School of Nursing, Chiba University
pp.3-4
発行日 2015年6月30日
Published Date 2015/6/30
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- Abstract 文献概要
わが国は20年前の1995年に高齢化率14.5%となり高齢社会となった.その後の高齢化率の上昇はいちじるしく,2025年には約30%,2060年には約40%に達するとみられている.世界規模でも高齢化率は上昇し,2010年の7.6%から2060年には18.3%となる見込みである.世界に先駆けて超高齢社会を迎えたわが国に続いて,今後は,先進国や新興国でも高齢化が進むと予測されている.超高齢社会がもたらす課題としては,生産年齢人口の減少,社会保障費の増大,介護負担の増大が指摘されており,それらの課題に対し,わが国の政策も急ピッチで整備されようとしている.そこには,成長や拡大に替わる新しい価値の発見や旧来の高齢者像の刷新等,発想の転換も求められる.まさに社会が大きく変わろうとしているいま,<健康>という普遍的な人類的課題に対し,看護学分野からなにを発信すべきか,またどのように貢献していくのか,改めて考えてみる時期にある.
台湾国立成功大学の趙氏は,社会を動かすための4つの路(track)として,①ケア提供,②教育,③政策,④研究を提示している.まさに,本学会の「倫理綱領」(ホームページ上に掲載)にも,この4つの路(活動)における会員の責任と義務が示されている.20年前に日本老年看護学会を設立した諸先輩はパイオニアとしてこの4つの路を切り開いてきた.社会を動かしてきた実績とはなにかについて,筆者なりに探りながら,今後につながる示唆を得たいと思う.
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