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「障害者リハビリテーションの目的は単に機能の回復にとどまらず,適正な社会的役割を獲得することにある.これにかかわる専門職は医学・社会・心理・工学など多職域にわたり,障害者リハビリテーションにはこれら専門職によるチームアプローチが欠かせない.」これはRusk以来,リハビリテーション担当者の初歩的常識とされているが,実際にチームアプローチをどのように進めるかとなると,具体的なテキストやマニュアルは少なく,各自の経験に頼っているのが現状である.
現在,リハビリテーション領域で大方の賛同を得ているInterdisciplinary team approach(多職種合同型チームアプローチ)では,参加リハビリテーション職は評価場面を共有し,チームとしてのゴール設定とリハビリテーション方針の決定に参加し,これらの共通認識に立ってリハビリテーションを進める.この際の最重要事項は,チームメンバーが合意し,積極的に参加できる,共通のゴールを設定する作業で,ここではメンバーの自らの領域にとどまらない広い理解力と,職種間の垣根を越えた協力とが必要である.この点,知識,技術を持ち寄れば単一の指向ゴールにこだわらなくても実施可能な,Multidisciplinary approach(多職種参加型チームアプローチ)とはいささか異なっている.またTransdisciplinary approach(職種超越型アプローチ)では,チームメンバーの一人を主担当者と定め,チームの方針に立って,他領域の職員の意見を聞きながら一人でリハビリテーションを担当する.この場合には指定された主担当者にリハビリテーションについてのさらに広い知識が必要なことは言うまでもない.
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