巻頭言
Interdisciplinary approach確立のために
笹沼 澄子
1,2
1東京都老人総合研究所言語聴覚研究室
2東京都養育院付属病院言語聴覚診療科
pp.93-95
発行日 1974年2月10日
Published Date 1974/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103093
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昨年の秋,言語障害関係の2つの学会に出席するために久しぶりにアメリカを訪れ,学会の合間を縫って,失語症やその周辺領域の問題と取り組んでいる2,3の研究所・病院などに立寄る機会を得た.数年前の状況に比べて,この領域全体がさらにひとまわり成長し,分化拡充も一段と進んだことが感じられた.
たとえば,上記2つの学会のうちの1つ,第49回アメリカ言語聴覚学会(American Speech and Hearing Association)では,4日間にわたる学会への参加者が6,000名を越え(正会員数は5年前の約2倍の2万に達したという),正常・異常なコミュニケーション過程のさまざまな側面を網羅する500題にのぼる研究発表と,4つの講演,147のセミナー,45のミニセミナーが,10~18の会議室に分散して行われた.さしもの大きさを誇るCobo Hall(デトロイト市)も人の波に埋まるこの盛会を目のあたりにして,この領域に関心をもつこの国の専門家の層の厚みとその活躍の幅の広さにあらためて目をみはるとともに,この巨大なエネルギーから生れ出る数々の成果に何らかの形で浴しつつあるアメリカの言語障害者と,わが国におけるそのような人々の現状との差を思わずにはいられなかった.
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