Japanese
English
特集 重度障害者のリハビリテーション
教育・社会・職業的リハビリテーション
重度脳卒中後遺症例の在宅ケア
Home Care and Management for Severe Stroke Patients.
東郷 伸一
1
,
川平 和美
1
,
綾田 多美子
2
,
小長野 聡美
2
Shin-ichi Tohgo
1
,
Kazumi Kawahira
1
,
Tamiko Ayata
2
,
Satomi Konagano
2
1鹿児島大学医学部リハビリテーション科
2青雲病院
1Department of Rehabilitation and Physical Medicine, Faculty of Medicine, Kagoshima University
2Seiun Hospital
キーワード:
脳卒中患者
,
在宅ケア
Keyword:
脳卒中患者
,
在宅ケア
pp.979-982
発行日 1994年11月10日
Published Date 1994/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107739
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はじめに
先日,在宅介護者の一人が急逝した.昨年脳梗塞に倒れた88歳の夫を介護していた84歳の妻だった.彼女は,夫を発症後一旦は遠隔地の老人病院に入院させたものの,定時の訓練以外は臥床が多い入院生活に疑問を感じて夫の退院を決意し,以来,在宅リハビリテーションに意欲的かつ献身的に取り組んでいた.最近になって,夫がポータブルトイレへの移乗が可能になったので,介護が少しは楽になると喜んでいた矢先のことだった.
地域医療計画策定以降の病床数削減の方向や長期入院患者に対する診療報酬の削減などによって,病める老人達は従来の「安住の地」を追われつつあるが,一方には,このように「寝かされたきり」の長期入院生活に訣別し,主体的な創意と工夫によって在宅療養の成果を上げようと努力している患者と家族もいる.この老夫婦との関わりは,在宅ケアに携わる筆者らにとっても大きな励みであっただけに残念でならない.
重度脳卒中後遺症例の多くは高齢者で,同時にその介護者も高齢なため,在宅ケアにおける重要な点は,単に患者自体の精神身体能力を含めた全身状態を高く維持する努力のみでなく,常に介護者の負担軽減を図る方策との両立を目指さねばならないことで,適切な支援には相当なリハビリテーションならびに医学的な技量と判断力が求められることでもある.
訪問指導の実態を知るため鹿児島県の郡部における公的な訪問指導の実施状況と重度脳卒中後遺症例への在宅ケアの現状を調査したのでその問題点について考えてみたい.
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