4．地域リハビリテーションの経済的基盤

Economic Analysis of Community-based Rehabililation.

はじめに

　近年，地域リハビリテーションに対する関心が高まっており，各施設・地域での実践報告も多数にのぼっている．他面，わが国では，その経済的基盤の報告・検討はほとんど見られない，たとえば，この分野の「最新百科事典」とも言える「地域リハビリテーション白書'93」¹⁾第7，8章には，「全国各地の地域リハビリテーションの実践例」が67も紹介されているが，それの経済的基盤（財源，収支等）について具体的に言及した報告は皆無である．そこで，今回は，主として厚生省統計を用いて，この面での全国の実態を検討したい．

　なお，地域リハビリテーションは，広義には，「障害を持つ人々や老人が住み慣れたところで……生き生きとした生活が送れるよう，医療や保健，福祉および生活に係るあらゆる人々が，リハビリテーションの立場から行う活動のすべて」²⁾と定義され，この場合には，病院や福祉施設に入院・入所してのリハビリテーションも含まれる．また，地域リハビリテーションの具体的活動としては，「①在宅リハビリテーション活動，②地域リハビリテーションの組織化活動，③一般の人々への働きかけ，の三つの活動が柱になっている」³⁾．

　しかし，今回は，操作的に，入院・入所リハビリテーションを除いた，医療および保健分野で行われている通院・通所および訪問の直接的リハビリテーション・サービスに対象を限定する．